MIXとマスタリングの違い — まずここを押さえよう

録音ボーカル・楽器各パートを録音MIX(ミキシング)全パートの音量・音質・定位を調整して1本のステムにマスタリング音圧・音量の統一配信プラットフォーム向け最終調整配信Spotify等へ
図:音楽制作の流れ — 録音→MIX→マスタリング→配信
  MIX(ミキシング) マスタリング
目的 各パートのバランスを整える 楽曲全体の音圧・音質を整える
対象 マルチトラック(複数の音源) ステム(MIX済み1〜2本)
主なツール EQ・コンプ・リバーブ・パン リミッター・マルチバンドコンプ
誰がやるか エンジニア or DTMer本人 専門エンジニア or 本人

MIXは「各楽器をバランスよく聴こえるようにする作業」、マスタリングは「曲全体を商業音楽のレベルに引き上げる最終仕上げ」です。初心者はまずMIXをマスターしましょう。


MIXの3大要素 — EQ・コンプ・リバーブ

EQ(イコライザー)● 特定の周波数を上げ下げ● 不要な低域をカット(HPF)● 音の「場所」を作る例: ボーカル100Hz以下カットコンプレッサー● ダイナミクス(音量差)を圧縮● 音量を安定させる● アタック感を強調例: ドラムのスネアにかけてパンチを出すリバーブ / ディレイ● 空間・残響を加える● 楽器に奥行きを作る● 「狭い部屋」〜「大ホール」を演出例: ボーカルに短いリバーブで自然な広がり
図:MIXの3大エフェクト — まずこの3つの役割を覚えよう

EQ(イコライザー)の基本

EQは音の「周波数」をコントロールするツールです。初心者が最初に覚えるべき操作は2つ:

操作 意味 典型的な使い方
ハイパスフィルター(HPF) 低域(ゴロゴロ音)をカット ボーカル・ギター・シンバルの低域除去
特定周波数のブースト/カット 目立たせたい音域を強調 ボーカルの「通り」を出す5kHz付近をブースト

コンプレッサーの基本パラメーター

パラメーター 説明 初期値の目安
Threshold(スレッショルド) コンプが働き始める音量 -20〜-10dB
Ratio(レシオ) 圧縮の強さ 4:1 が汎用的
Attack コンプがかかる速さ 20〜50ms(ドラムは遅め)
Release コンプが解放される速さ 100〜300ms

リバーブの種類

タイプ 特徴 向いている楽器
Room 小さい部屋の残響。自然な広がり ボーカル・スネア
Hall 大ホール。豊かな残響 ストリングス・ピアノ
Plate 金属板の独特な響き ボーカル・スネアのクラシック処理

MIXの手順 — 初心者向け5ステップ

①ゲイン整理各トラックの音量を揃える②EQで整理不要な周波数をカット③コンプで安定音量差を圧縮し安定させる④パン定位各パートを左右に配置⑤空間処理リバーブ・ディレイで奥行きを追加
図:MIXの基本5ステップ — この順番で進めることで整ったMIXになる

Step 1: ゲイン整理(音量の正規化)
すべてのトラックの音量を聴きながら揃える。まずはフェーダーだけで全体のバランスを作ることに集中。

Step 2: EQで不要成分をカット
各楽器の不要な低域をHPFでカット。「被り」(ぶつかっている周波数)を整理する。

Step 3: コンプレッサーで音量を安定化
飛び出している音量の波を圧縮。ドラムのパンチ感、ボーカルの安定感を作る。

Step 4: パン(定位)で左右に配置
楽器を左右に配置して「音のステージ」を作る。ドラム・ベース・ボーカルはセンターが基本。

Step 5: リバーブ・ディレイで空間処理
各パートに適切な残響を加えて奥行きを作る。かけすぎると「遠く」なるので注意。


マスタリングの基本 — 初心者はリミッターから始めよう

マスタリングの第一歩はリミッター(トゥルーピークリミッター) の使い方を覚えることです。

パラメーター 説明 推奨値(配信向け)
アウトプットゲイン 最終的な音量レベル -1.0〜-0.5dBFS(クリッピング防止)
LUFS(ラウドネス) 曲の知覚音量 -14LUFS(Spotify/Apple基準)

配信プラットフォームのラウドネス規格:

  • Spotify: -14 LUFS
  • Apple Music: -16 LUFS
  • YouTube: -14 LUFS

初心者向け無料MIXプラグイン

プラグイン 種類 配布元 特徴
TDR Nova ダイナミックEQ Tokyo Dawn Records 高品質・無料・プロも使用
Digitech DBM Free コンプ Analog Obsession シンプルで扱いやすい
Valhalla Supermassive リバーブ/ディレイ Valhalla 無料とは思えないクオリティ
OTT マルチバンドコンプ Xfer Records EDMで定番。独特のサウンド
Youlean Loudness Meter ラウドネス計測 Youlean LUFS確認に必須

これらはすべて無料でダウンロードでき、DAWのプラグインとして使用できます。


MIXに適したモニタースピーカーとヘッドフォン

モニタースピーカー(推奨)✅ 空間の広がり・定位を正確に確認✅ 長時間作業で耳が疲れにくい△ 部屋の音響環境が音質に影響するモニタリングヘッドフォン✅ 部屋の影響を受けない✅ 細部のノイズ確認に強い△ 立体感・定位の把握に限界がある
図:MIX作業での出力機器の比較

MIX作業にはフラットな音響特性(音を色付けしない)のモニター機器が必須です。リスニング用スピーカーやイヤフォンは、特定の周波数が強調されているため、MIXすると他の環境で聴いたときに偏りが生まれます。

おすすめモニタースピーカー:

モデル 価格帯 特徴
YAMAHA HS5🛒 ¥35,000〜/本 スタジオ定番。フラットで正確
ADAM Audio T5V🛒 ¥25,000〜/本 リボンツイーター搭載。高域が滑らか
KRK Rokit 5 G4🛒 ¥30,000〜/本 低域が豊か。ヒップホップ・EDM向き

MIXの参考書・入門書

書名 著者 特徴
はじめてのMIXING & MASTERING 石田ごう DAWの具体的操作を丁寧に解説。初心者入門書として定番
MIXの教科書 DURAN プロが教えるMIXの考え方と手順。ステップ形式で進めやすい
DTM音楽制作パーフェクトガイド 各社 録音から配信まで一冊で学べる総合書

🛒 楽天市場でモニタースピーカーをチェック

楽天市場でモニタースピーカーを探す →

🎚️ サウンドハウスでMIX機材をチェック(国内最大の音楽機材専門店)

サウンドハウスで探す →