MIXとマスタリングの違い — まずここを押さえよう
| MIX(ミキシング) | マスタリング | |
|---|---|---|
| 目的 | 各パートのバランスを整える | 楽曲全体の音圧・音質を整える |
| 対象 | マルチトラック(複数の音源) | ステム(MIX済み1〜2本) |
| 主なツール | EQ・コンプ・リバーブ・パン | リミッター・マルチバンドコンプ |
| 誰がやるか | エンジニア or DTMer本人 | 専門エンジニア or 本人 |
MIXは「各楽器をバランスよく聴こえるようにする作業」、マスタリングは「曲全体を商業音楽のレベルに引き上げる最終仕上げ」です。初心者はまずMIXをマスターしましょう。
MIXの3大要素 — EQ・コンプ・リバーブ
EQ(イコライザー)の基本
EQは音の「周波数」をコントロールするツールです。初心者が最初に覚えるべき操作は2つ:
| 操作 | 意味 | 典型的な使い方 |
|---|---|---|
| ハイパスフィルター(HPF) | 低域(ゴロゴロ音)をカット | ボーカル・ギター・シンバルの低域除去 |
| 特定周波数のブースト/カット | 目立たせたい音域を強調 | ボーカルの「通り」を出す5kHz付近をブースト |
コンプレッサーの基本パラメーター
| パラメーター | 説明 | 初期値の目安 |
|---|---|---|
| Threshold(スレッショルド) | コンプが働き始める音量 | -20〜-10dB |
| Ratio(レシオ) | 圧縮の強さ | 4:1 が汎用的 |
| Attack | コンプがかかる速さ | 20〜50ms(ドラムは遅め) |
| Release | コンプが解放される速さ | 100〜300ms |
リバーブの種類
| タイプ | 特徴 | 向いている楽器 |
|---|---|---|
| Room | 小さい部屋の残響。自然な広がり | ボーカル・スネア |
| Hall | 大ホール。豊かな残響 | ストリングス・ピアノ |
| Plate | 金属板の独特な響き | ボーカル・スネアのクラシック処理 |
MIXの手順 — 初心者向け5ステップ
Step 1: ゲイン整理(音量の正規化)
すべてのトラックの音量を聴きながら揃える。まずはフェーダーだけで全体のバランスを作ることに集中。
Step 2: EQで不要成分をカット
各楽器の不要な低域をHPFでカット。「被り」(ぶつかっている周波数)を整理する。
Step 3: コンプレッサーで音量を安定化
飛び出している音量の波を圧縮。ドラムのパンチ感、ボーカルの安定感を作る。
Step 4: パン(定位)で左右に配置
楽器を左右に配置して「音のステージ」を作る。ドラム・ベース・ボーカルはセンターが基本。
Step 5: リバーブ・ディレイで空間処理
各パートに適切な残響を加えて奥行きを作る。かけすぎると「遠く」なるので注意。
マスタリングの基本 — 初心者はリミッターから始めよう
マスタリングの第一歩はリミッター(トゥルーピークリミッター) の使い方を覚えることです。
| パラメーター | 説明 | 推奨値(配信向け) |
|---|---|---|
| アウトプットゲイン | 最終的な音量レベル | -1.0〜-0.5dBFS(クリッピング防止) |
| LUFS(ラウドネス) | 曲の知覚音量 | -14LUFS(Spotify/Apple基準) |
配信プラットフォームのラウドネス規格:
- Spotify: -14 LUFS
- Apple Music: -16 LUFS
- YouTube: -14 LUFS
初心者向け無料MIXプラグイン
| プラグイン | 種類 | 配布元 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| TDR Nova | ダイナミックEQ | Tokyo Dawn Records | 高品質・無料・プロも使用 |
| Digitech DBM Free | コンプ | Analog Obsession | シンプルで扱いやすい |
| Valhalla Supermassive | リバーブ/ディレイ | Valhalla | 無料とは思えないクオリティ |
| OTT | マルチバンドコンプ | Xfer Records | EDMで定番。独特のサウンド |
| Youlean Loudness Meter | ラウドネス計測 | Youlean | LUFS確認に必須 |
これらはすべて無料でダウンロードでき、DAWのプラグインとして使用できます。
MIXに適したモニタースピーカーとヘッドフォン
MIX作業にはフラットな音響特性(音を色付けしない)のモニター機器が必須です。リスニング用スピーカーやイヤフォンは、特定の周波数が強調されているため、MIXすると他の環境で聴いたときに偏りが生まれます。
おすすめモニタースピーカー:
| モデル | 価格帯 | 特徴 |
|---|---|---|
| YAMAHA HS5🛒 | ¥35,000〜/本 | スタジオ定番。フラットで正確 |
| ADAM Audio T5V🛒 | ¥25,000〜/本 | リボンツイーター搭載。高域が滑らか |
| KRK Rokit 5 G4🛒 | ¥30,000〜/本 | 低域が豊か。ヒップホップ・EDM向き |
MIXの参考書・入門書
| 書名 | 著者 | 特徴 |
|---|---|---|
| はじめてのMIXING & MASTERING | 石田ごう | DAWの具体的操作を丁寧に解説。初心者入門書として定番 |
| MIXの教科書 | DURAN | プロが教えるMIXの考え方と手順。ステップ形式で進めやすい |
| DTM音楽制作パーフェクトガイド | 各社 | 録音から配信まで一冊で学べる総合書 |
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