音楽の著作権とは? — 2種類の権利を理解する

著作権(Copyright)● 楽曲・歌詞を「作った人」の権利● 作曲家・作詞家が自動的に保有● JASRACなどの管理団体に委託可能死後70年間保護される著作隣接権(Neighboring Rights)● 「演奏・録音・配信」した人の権利● アーティスト・レーベルが保有● 音源(マスター)そのものの権利発行から70年間保護される
図:音楽の権利は「楽曲の権利(著作権)」と「音源の権利(著作隣接権)」の2種類がある

音楽には主に2種類の権利があります。著作権は楽曲・歌詞を作った人の権利、著作隣接権はその楽曲を録音・演奏した人の権利です。

例えばYOASOBIの楽曲の場合:

  • 著作権 → Ayase(作曲)・ikura(作詞)が保有
  • 著作隣接権 → ソニーミュージック(レーベル)が音源を保有

JASRAC・NexToneとは? — 著作権管理団体の役割

管理団体 特徴 主な管理楽曲
JASRAC 国内最大手。ライセンス収入を分配 大手レーベル楽曲の多く
NexTone 後発・競合管理団体 インディーズ・J-POP一部
直接管理 アーティスト自身が管理 海外インディー・ロイヤリティフリー楽曲

どんな場合にJASRACへの申告が必要か?

利用シーン 申告要否
カフェ・レストランでBGMとして流す 必要(BGM使用許諾)
YouTubeで弾いてみた動画を投稿 一般的に不要(YouTube包括契約)
TikTokで使用 不要(TikTok包括契約)
自作曲をストリーミング配信 不要(管理楽曲でなければ申告不要)
他者の楽曲をサンプリングして販売 要許諾(著作権者に直接確認)

DTMクリエイターが陥りやすい著作権の落とし穴

⚠️ 著作権リスクの高い行為サンプリング既存曲の一部をそのまま使用する行為→ 著作権・隣接権両方に抵触カバー楽曲の商用利用他者の楽曲を演奏・録音し販売・収益化する行為→ 著作権者の許諾が必要非商用素材の商用転用「個人利用のみ可」のプリセット・サンプルを販売→ ライセンス違反になる可能性
図:DTMクリエイターが特に注意すべき3つの著作権リスク

1. サンプリング(他人の音源の無断使用)

既存曲のドラムブレイクやメロディーをそのまま使用することは、著作権および著作隣接権の両方への侵害になります。

合法的なサンプリングの方法:

  • クリアランス取得: 著作権者に許諾を求める(ハードルが高い)
  • ロイヤリティフリーサンプルを使う: Splice / Looperman等のサービス
  • 自分で録音・制作したサンプルのみ使用する

2. DAWのプリセット・音色の商用利用

多くのDAWやプラグインのプリセット音色は商用楽曲に使用可能ですが、サンプルループ素材の商用利用可否はライセンスによって異なります。

素材タイプ 商用利用 確認先
DAW付属シンセ音色 一般的に○ 各DAWの利用規約
GarageBandループ Apple製品での使用はOK Apple利用規約
Spleece等のサンプルパック サービスによる 各サービスEULA
サンプリングした実音源 要許諾 著作権者へ直接

3. カバー楽曲の取り扱い

YouTubeでのカバー動画: YouTubeはJASRACと包括契約を締結しており、一般的に収益化も可能です。ただし原盤(マスター音源)をそのまま使うのは著作隣接権侵害になります。

音楽配信サービスへのカバー曲アップロード: JASRACの許諾番号取得が必要です。TuneCoreなどの配信代行サービスが手続きを代行してくれる場合があります。


ロイヤリティフリー音楽とは?

「ロイヤリティフリー」は著作権がないという意味ではありません。一度ライセンスを購入すれば、継続的な使用料(ロイヤリティ)が発生しないという意味です。

音楽の種類 著作権 使用料
パブリックドメイン なし(保護期間満了) 無料で自由使用
ロイヤリティフリー あり(購入者がライセンス取得) 一括払い後は無料
著作権あり(通常) あり 使用のたびに発生
CCライセンス あり(条件付き許可) 表示義務等が条件

AI生成音楽の著作権

AI音楽ツールで生成された楽曲の著作権は、現在も法整備が進んでいる段階です。

国・機関 現在の見解(2026年)
日本 人間が創作的寄与をしていなければ著作権は発生しない(文化庁見解)
アメリカ(著作権局) 純粋なAI生成物は著作権保護対象外(登録不可)と明記
EU AI生成物に対する著作権を認めていない(欧州委員会立場)

実務的な注意点:

  • Suno AI・Udioで生成した楽曲のみで構成される作品は著作権登録できない可能性が高い
  • 人間が実質的な創作的判断(歌詞・アレンジ・選択)をしているなら著作権が認められる可能性
  • AudioStockはAI生成楽曲を2024年以降禁止(人間制作か審査が通らない)
  • ストリーミング配信(Spotify等)ではAI楽曲も登録可能だが、サービス規約の変更に注意

自分の楽曲を守るには? — 著作権登録と実務的な対策

著作権の発生

著作権は制作した瞬間に自動発生します。特別な登録は不要です。ただし証明のために:

  • 制作記録を保存: プロジェクトファイルのバックアップ・タイムスタンプ
  • 公開記録: SoundCloudやYouTubeへの投稿(タイムスタンプが証拠になる)
  • 文化庁への登録: 任意ですが法的紛争時に有効

JASRACへの楽曲登録

自分の楽曲を管理する場合、JASRACへの信託登録を行うと:

  • 第三者が楽曲を使用した際に使用料を徴収・分配してもらえる
  • ただし一度信託すると自分で自由にライセンスできなくなる制限がある

インディーズ・DTMクリエイターは直接管理がおすすめ: ストリーミング配信サービス(TuneCoreなど)が著作権使用料を代理収集してくれます。


まとめ — DTMクリエイターの著作権チェックリスト

  • 使用するサンプル素材のライセンスを確認した
  • プラグイン・音源の商用利用可否を規約で確認した
  • 他者の楽曲をサンプリングしていない
  • カバー曲を配信する場合は許諾手続きを完了した
  • AI生成素材を含む場合は各プラットフォームの規約を確認した
  • 自分の楽曲の制作記録(タイムスタンプ付き)を保存している

著作権は複雑な分野ですが、基本原則は「使う前に許諾を確認する」です。不明な場合は弁護士や著作権管理団体への相談をおすすめします。


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