なぜ今、80年代の日本音楽が世界で聴かれるのか

2019年頃から始まったシティポップリバイバル——竹内まりや「Plastic Love」(1984年)がYouTubeのアルゴリズムで世界中に拡散し、数千万回再生を記録したことが一つのきっかけだ。

なぜ40年前の日本の音楽が今の世界に刺さるのか。答えはおそらく:

  1. アナログとデジタルが混在する「温かみ」:現代の高解像度デジタル音楽にない質感
  2. 洗練されたコード進行:ジャズの影響を受けた複雑だが聴きやすい和声
  3. ノスタルジア×エキゾチシズム:海外リスナーにとって「見知らぬ懐かしさ」
  4. Lo-Fiブームとの親和性:チルアウト・Lo-Fiヒップホップとの音楽的類似

シティポップとは何か

「シティポップ」という言葉は実は当時存在しなかった。後世のリスナーが命名したジャンルだ。1977〜1989年頃の日本のポップスのうち、特に:

  • 洗練されたコード進行(9th・maj7・dim多用)
  • ファンクやAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)の影響
  • 夏・夜・都市を連想させる雰囲気

を持つ作品群が「シティポップ」と呼ばれるようになった。

主な代表アーティスト

アーティスト 代表作 特徴
山下達郎 「Ride On Time」「クリスマス・イブ」 コーラスワークの職人
竹内まりや 「Plastic Love」「September」 AOR×J-POP
大貫妙子 「都会」「4:00 A.M.」 フレンチポップ×シティポップ
松原みき 「真夜中のドア〜Stay With Me」 世界的バイラルヒット
杏里 「悲しみがとまらない」 AORの傑作

シティポップサウンドの特徴

🌙 シティポップの音楽的要素

  • maj7・9thコードの多用:浮遊感のあるオシャレなコード感
  • ファルセットボーカル:裏声を使ったなめらかな歌い方
  • スラップベース:ファンク由来のパーカッシブなベース
  • フレットレスベース:Jaco Pastoriusの影響。竹内まりや楽曲に多い
  • コーラスとフランジャー:空間系エフェクトで広がりを出す

現代でシティポップを作る

コード進行の基本

シティポップ的なコード進行の例(Cキー):

Cmaj7 → Am7 → Dm7 → G7
Fmaj7 → Em7 → Am7 → Dm7 → G7sus4 → G7

ポイントはmaj7(メジャーセブンス)を多用すること。C → Cmaj7と変えるだけで一気にオシャレな質感になる。

ベースラインの作り方

スラップベース的な動きをDTMで作るには:

  1. 引きと跳ねのリズムパターン(8分音符の間にゴーストノート)
  2. タム連打的なフィルをフレーズの切れ目に入れる
  3. テンションノート(9th・13thなど)へのアプローチ

必要な機材・プラグイン

  • Rhodes / Wurlitzer プラグイン:エレピは必須
  • コーラスエフェクト:Roland JC-120系の広がり(Valhalla Chorus等)
  • テープサチュレーション:アナログ感のために(Softube Tape等)
  • アコースティックギター:カッティングとアルペジオ

シティポップリバイバルの意味

世界がシティポップを発見したことは、日本の音楽産業に重要な教訓を与えた。良い音楽は時代を超える——そして今はYouTubeアルゴリズムが時代を超えた名盤を発掘する。

40年後の人が今の音楽を聴いて感動するかもしれない。だとすれば、今作る音楽のクオリティに妥協しない理由がある。


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シティポップリバイバルの世界的現象——なぜ今なのか

「Plastic Love」(竹内まりや)のバイラル現象の解析

2017〜2019年にかけてYouTubeで起きた現象の背景:

  1. アルゴリズムの偶然:80年代のロングテールコンテンツがレコメンドに登場
  2. サムネイルの力:竹内まりやの若い頃の写真がクリック率を上げた
  3. Lo-Fiヒップホップとの音楽的類似性:同じチルアウト層が聴くようになった
  4. 日本語という「異国感」:意味がわからないことで逆に「純粋に音楽として」聴かれた

シティポップ制作の具体的コード進行集

最もシティポップらしい進行パターン:

パターン1(王道):Fmaj7 → E7 → Am7 → Gm7 → C7
パターン2(浮遊感):Cmaj7 → Bm7 → Em7 → Am7
パターン3(ファンク寄り):Dm9 → G13 → Cmaj9 → Am11

これらをRhodesエレピ + スラップベース + コーラスエフェクトで鳴らすと「瞬時にシティポップ」になる。

日本人アーティストの「逆輸入」現象

シティポップリバイバルにより起きた逆輸入:

  • 竹内まりや「Plastic Love」の公式MV:2億回超の再生
  • 山下達郎のSpotifyでの新規海外フォロワー増加
  • 松原みき「真夜中のドア」がインドネシア・フィリピンでチャートイン

「Midnight Rain by Taylor Swift」にもシティポップ的なコード感が使われているという分析もあり、世界的な音楽語彙に組み込まれた。